その仮面、剥がさせていただきます!
でもさ。考えてみれば、リクの理想の女子にはカスってもいないこのあたしを好きになるはずがないじゃない。

流石はわが学園の王子様。

乙女心……揺さぶるよね。


妙に感心したあたしは色んなことが立て続けに起こって疲れている。

こんなんじゃ頭の回転も鈍くなるってもんよ。

そう。こんな時は甘いものに限る~

ってことで、近くのコンビニにお菓子を買いに出かけた。

チョコレートや袋のお菓子をカゴいっぱいに放り込みレジに向かっていると、後ろから誰かに声を掛けられた。

「りっちゃん久しぶり」

「……奈緒子?」

長くてウエーブしたブラウン色の髪がよく似合う女の子らしい奈緒子が微笑みながら立っている。

あたしの前にリクの潜入捜査をしていた奈緒子。

「今、りっちゃんが陸人の潜入してるんだってね」

あたしが店員さんにお菓子の精算をしてもらっている間、横にいる奈緒子は明るくそう言った。

お金を支払い、奈緒子と一緒にコンビニを出ると、歩きながら話しをする。

「奈緒子。大丈夫……なの?」

学園も暫く休んでいたからリクと何があったのか知らない。

「うん。もう平気。三年になったら学校行くからね」

「そう。良かった……」

両手にぶら下がっているコンビニ袋が足に当たってガサガサと音を鳴らす。

「りっちゃん。ちょっといい?」


奈緒子に誘われてカフェに入ると、四人掛けのテーブルに座り隣の椅子にお菓子の詰まった袋を置く。

前に座っている奈緒子があたしと目を合わせると微笑んだ。

女のあたしでさえドキッとするほどキレイな奈緒子から視線を逸らす。

「りっちゃんは聞きたくない?私が陸人と一緒にいた時のこと……」

それは聞きたい……

けど、それを聞いてしっまったらリクを見る目が変わってしまうような気がしてすぐに『うん』とは頷けない。


あたしのリクに対する気持ちってそんなもの?

簡単に人の言葉で変わってしまうものなの?

あたしは……


「聞いてもいい?」


奈緒子の潤んだ瞳を見つめ、あたしはゴクリと生唾を飲み込んだ。


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