その仮面、剥がさせていただきます!
こいつ居座る気だな。

「またまた彼女とケンカ?」

喧嘩したならやっぱいつものようにここに泊まるのかな?

リクはきっと『うちにおいで』って言うだろうな。

そうなったらリクと一緒に居られて嬉しいはずなのに、今のあたしは隣に行きたくないなって思ってしまう。

ソファに寝転がっている拓にぃはテレビのリモコンを手に取るとあたしに言った。

「おう。けど、今日は帰る」

それを聞いて安心したあたしは拓にぃも交えて夕食を食べた。




「明日ベッドが届いたら手伝いに行くからね」

リクを玄関で見送る。

「業者の人が運んでくれるから大丈夫だよ」

「そうなんだ」

「それより……拓実さん。今日帰るんだよね?」

心配そうなリクの顔に向かってあたしは笑顔で「大丈夫だよ」と答えた。



「陸人。帰ったのか」

拓にぃはまたソファに寝転んで寛いでいる。

あたしは机の上に残っていたグラスをシンクに持っていくとそれを洗いながら、拓にぃはいつになったら帰ってくれるんだろうと思っていた。

お風呂に入りリビングに行くと、まだ同じ体制でテレビを観ている拓にぃ。

「ねえ。いつになったら帰るのかな?」

「あ?オレ。今日も帰らないけど?ってか、暫くここにおいてくれ」

「はぁ?」

それって冗談でしょ?

「なんか誤解してるみたいなんだけど、オレの話しを聞いてくれなくてな。同棲してた部屋を追い出されちまった」

「追い出されたって……」

そんなの困る。

ここに拓にぃに居座られてはリクにどう思われるか……

「そんなことより、律子は陸人とどうなってんだ?さっきの様子からだと陸人に告られたか」

それって、リクに抱きつかれてるとこを見られてたってこと?

あたしの顔がカァと赤く熱を帯びるとそれを見た拓にぃがニヤリと笑った。


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