その仮面、剥がさせていただきます！

王子の家族

どうやったらリクに『好き』と言わせることができるのかっていうテーマでの一人作戦会議もまとまらないまま朝を迎え、いつものようにリクんちの玄関前に立っていた。

チャイムを鳴らすとすぐにリクが顔を出し、朝から完璧なスマイルであたしを迎え入れてくれる。

その笑顔にホッとして中に入ろうとすると、隣の自分ちから拓にぃが出てきてしまった。


「陸人のとこ行くんなら声かけろよ。カギ、ちゃんと閉めないとホントにドロボーに入られんぞ」

そう言って、拓にぃは仕事に出かけて行った。

入りかけたリクんちを出て、持っていたカギで玄関のカギを閉める。

またリクんちに入ると、リビングではカーペットの上に寝転んで片足をソファにかけぐっすりと寝ている春樹がいた。


そういや、こいつ。ここに泊まってたんだわ。


春樹を見ながらチッと舌打ちをして、何か手伝うよとキッチンに立っていたリクの傍に近寄る。


「拓実さん。帰ってなかったんだね」

リクにそう言われて顔が強張った。

「あ……それはね」

「昨日の夜。リツはそのことを言いに来てくれたのに、あいつが泊まるって言ったから言えなかったんだよね」

そうじゃないけど、あたしは「うん」と小さく答えた。

「今日も泊まるの？」

「うん。たぶん……同棲してる彼女とケンカしたみたい」

「そっか。だったらリツは暫くここにお泊りだね」

当然のように言うリクに口をパクパクさせながら何も言えないあたしのことなど眼中に入っていないように、リクは朝食の用意を進めた。


朝食が出来上がる頃に春樹を起こし、三人での朝食。


「ったく。なんでお前まで」


と、いつものようにブリブリ春樹に言われながら食事を済ませると頃合いを図ったかのように昨日買ったベッドが届いた。




「なんだか狭くなったね」


ベッドが変わっただけなのに、リクの部屋じゃないみたいに雰囲気が違って見える。

「布団も変えたんだね」

「新しいベッドって一番に寝転んでみたくない？」

ニッと笑った隣のリクとあたしの考えは同じだったみたいで、競うように二人でベッドにダイブした。