その仮面、剥がさせていただきます!
び、びっくりした~

さっきは考える余裕はなかったけど、あれがお姫様抱っこって言うものだろうか?

思い出すとカッと頬が火照る。

それはそうとリクに譲るはずのベッドの上にまた戻ってきてしまった。

下されたベッドの上にちょこんと座っていると、リクが端に腰かけた。

「わっ!!」

近すぎて分かんなかったけど、お風呂上がりのリクは上半身裸。

あたしは慌てて顔を手で隠した。

「暑かったからつい……」

ゴソゴソと服を着るリク。

なんだかあたし、さっきからリクに驚かされてる?

覆っていた手の隙間からリクが服を着たことを確認してから手を顔から離した。

「やっぱりリクはここで寝て。あたしは向こうで全然構わないから」

リクが風邪ひくよ。と立ち上がろうとしたあたしの前にリクは抱き枕を置いた。

「こうやって半分こにしよう。リツはあっちで俺はこっち」

大体ベッドの真ん中に境界線のように置かれた抱き枕。

「あたしはいいけど、リクは窮屈そう?」

「そうでもないよ。ほら広い」

寝転がったリクを真似てあたしも寝転んでみる。

「ホント……」

広さは選んでいるときに検証済みだったけど、実際寝るってなったら布団もあるしもっと窮屈なのかと思っていた。

広さ的には問題ないことは分かった。

ケド……

自分の抱き枕を壁寄りにセットしながら後ろを振り返る。

あたしはこんなにドキドキしてるのに、リクはあたしと一緒のベッドで寝ても平気なのかな?

キスされた一昨日の夜を思い出すと再び顔が熱くなる。


またあんな雰囲気になったら?

あたしはきっと受け入れてしまうんだろうな……

たとえリクがあたしを好きだって言わなくても。



抱き枕を隔てた向こうにいるリクが寝返りをしてこっちを向いた。

目が合うとニコリと微笑む。

「警戒しなくても大丈夫。襲ったりしないから安心して眠って」

そう言って今度は背中を向けた。


あ、あたしってば何考えてるんだろっ。


壁際の抱き枕にギュッと抱きついて目を閉じる。

リクがあたしのことを大切だって言った意味が分かったような気がする。

きっとリクはあたしのことを妹みたいに思っているんだ。

だから世話を焼いてくれたり風邪をひかないようにって心配してくれたりする……



もしかしたらって、期待した自分が恥ずかしい……

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