その仮面、剥がさせていただきます!
ま、まあ……

友達からも微妙な気がするが……


顔を洗って寝癖を直し、少し緊張しながらリクとの朝食。

リクが作ってくれたフレンチトーストを一口食べてすぐにその緊張も解れてしまったけど。

「ん~おいし~」

甘さで落ちそうなホッペを押さえながら美味しさに浸る。

「満足してもらえて嬉しいよ」

あたしの様子を嬉しそうに見ているリク。

こんなひと時が今のあたしにとってサイコ―に幸せだった。


「ホント。リクはお料理上手だね」

リクに感謝を込めた言葉だったけど、そのあたしの言葉にリクは浮かない顔をした。

「いいお嫁さんになれるとか思ってる?」

「え?」

「俺……こんな顔だし、料理とかするし。女みたいとかって思ってる?」

見る見る暗い影を落としたリクの表情に、さっきまでの幸せ感が吹っ飛んだ。

けど、これもまたリクの冗談なのかもしれないなって思って、あたしは明るく言い返した。

「そんな。リクが女なら、あたしは完全に男だね。ガサツだし、料理とか全然だし、女らしいとこなんか全くないんだもん」

自分で言ってて虚しくなる。

でも、それはずっとあたしの中で思ってた事だし、リクだってきっとそう思ってる……

「そんなこと……」

リクは困ったような顔をして一応否定をしてくれようとしているけど、あたしは畳み掛けるように話す。

「だってそうでしょ!?ホントだっだらあたしが早起きしてリクに朝食を作るべきなのに、こうやってのんびりとご馳走になってるわけだし。寝床も半分占拠して、その上三食リクに作ってもらってさ。そんな図々しい女っていないと思うよ?」

目を血走らせながら必死で話すあたしを呆然と見ていたリクはフッと息を吐きながら笑顔になった。

「リツって興奮したら鼻が膨らむ……」

「え!?」

指摘された鼻を慌てて両手で隠すとそれを見たリクが今度は吹き出した。

「もう!リクがおかしなこと言うからでしょ?」

と、真っ赤になりながら残りのフレンチトーストにかぶりつく。


ああ……

あたしって女らしさの欠片もない。

こんなんじゃ、リクに嫌われるのも時間の問題かも……


上品に食べ始めた向かいのリクの方をチラリと見てため息を漏らした。


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