その仮面、剥がさせていただきます!
朝食の後片付けを済ませ、隣の我が家に帰ろうかと思っていると、仕事が休みらしい拓にぃがリクんちにやってきた。

「律子がお世話になってるから陸人にお礼だ」

と、拓にぃは両手いっぱいの荷物の中身を取り出している。

並べられた物をみると、どうやらリクの髪を弄るようだ。

「勝手な事しないでよ」

「あ?オレ様の施術をタダで受けれるんだぞ。有難く思え」

「有難迷惑なのよ!だいたいさ。リクが望んでないでしょ?」

当然断らないよな?という拓にぃと、まさかしてもらうなんてこと言わないよね?というあたしの視線を同時に受けたリクは困ったように交互に視線を動かした。


で。

結局は邪魔なあたしは拓にぃによってりくんちの玄関先に放り出された。

千円札二枚を握らされて……


ったく!何なのよっ!!


あたしを排除した拓にぃは玄関ドアを閉める前にこう言った。

「心配するな。それなりにカッコよくしてやる」

だから!何なのよ!!

そりゃ。今よりもカッコよくなられちゃそれはそれで困るけど……

でもよ?カッコ悪くなるのも困る……


拓にぃに握らされた二千円に目を落とす。


言っときますが、別にお金で買収されたわけじゃないのよ。

このお金は三人分の昼ご飯を買ってこいっていう拓にぃに命令させた都合のいい邪魔者排除策。

まあ。リクが作れないんじゃろくなものが食べれないって思うのも当然だけど。

おっと、こうしちゃいられない。

とっとと昼ご飯を調達して、拓にぃが無茶をしないように見張っておかないと!


駆け足でエレベーターまで行き、一階から上ってくる数字を苛々しながら目で追った。


リク。あたしの時みたいに椅子に縛り付けられてなきゃいいけど……


やっぱ、心配になってきた。


何を買おうかなんて考える余裕もなくコンビニに着くなりお弁当コーナーに一直線に向かう。

何弁当なのかも確認せず三個のお弁当を掴むとすぐにレジに持って行った。


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