その仮面、剥がさせていただきます!
家族の間で何があったのか知らないけど、自分の母親が入院したのに会いに行かないリクの気持ちが理解できない。


もしもお母ちゃんに何かあったら……

例え喧嘩をしてたとしても、大っ嫌いだと思っていたとしても、きっと一番に会いに行く。

何もしてあげられないかもしれないけど、子供が傍に居るだけで親って安心するもんじゃない?


親子ってそういうもんでしょ?

部屋の中に引きこもったリクに向けて、徐々に怒りがこみ上げてきた。


心では分かってる。

これはリクの問題であってあたしが口出しすることじゃないって事ぐらい。

でも。

頑なに心を閉ざしているリクの事が心配でたまらない。

今。リクは何を想っているんだろう……

そう考え出すといてもたってもいられない。


ダメだ。もう我慢できない!


「リク!!」

開け放ったドアからバンという音がして壁に当たると跳ね返る。

勢いに任せてベッドに伏せて横たわるリクの傍に行くとリクは壁側に顔を向けた。

「このままでいいの?いいわけないよね?お兄さんだって心配してるよ」

「…………」

俺のことは放っておいてくれという重苦しい空気がビシビシ伝わってくる。


ええい。無言の圧力になんか負けるもんかっ。


「リクはお母さんのこと心配じゃないの?」

遠慮気味にベッドの端っこに腰を下ろすと、リクが起き上がった。

「リツには関係ない!」

冷たく言い放ち、また逃げようとするから思わずリクの腕を掴む。

「関係ないかもしれないけど……もしかしてあたしの所為なのかなって」

「どうしてリツの所為なの?」

「あたしがここにいる所為で、リクが家に帰れなかったんじゃない?」

もしそうなら。あたしリクに申し訳ないよ……

「それはない」

「だったらどうしてお母さんのお見舞いに行かないの?」

いつもとは違うリクの冷たい態度が少し怖かったけど、あたしはどうしてもリクの気持ちが知りたかった。






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