その仮面、剥がさせていただきます!
自分のベッドに寝転びボーっと天井を眺めていた。

あれからもう三日……


あたしのことを追いかけもしなかったリクのことを考える。


結局のところ、リクはあたしのことなんて好きじゃなかったんだ。


そんなの、初めから期待してなかったのに……


気が付くと抱き枕を探して彷徨う手。

そうだった……

抱き枕。リクの部屋に置いてきちゃったんだ……


何も考えずに自分ちに帰って来たものの、置いてきた荷物を取りに戻る勇気もない。


「律子……」

ドアの向こうから拓にぃの心配そうな声が聞こえて、あたしは寝転がったまま怠そうに「何?」と答えた。

「陸人と何があったのか知んないけど。何か食べろ」

「ん……欲しくない」

「引きこもってたって何の解決にもなんねえぞ。明日から学校だろ?」

すっかり忘れていた!

脱力していた身体をやっとベッドから起こし引きっぱなしになっていたカーテンを開けた。

春の日差しが眩しくて目を細め、大きく伸びをする。



リクんちを飛び出してからこの部屋で色々と考えた。

何も話してくれないリクへの苛立ち。

あたしに心配さえもさせてくれない寂しさ。

リクにとってのあたしの存在価値のなさが身に沁みて感じたリクの冷たい態度に悲しくなる。

色々な思いが入り混じって、腹を立てたり悲しくなったりの繰り返しだった。


でもね。

そう考えていて気づいたことがある。

あたしの想いって、結局は自分ばっかだなって。

リクの気持ちを無視して、あたしの気持ちを押し付けてるんじゃないのかって。


リクがあたしのこと好きでもそうじゃなくても、やっぱりあたしはリクの為に何かしてあげたいって思ってしまう。

リクが家族のことを話したくないのなら、それはそれでいいのかなって……






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