その仮面、剥がさせていただきます!
目を覚ますと見慣れない白い天井が見える。

あれ?ここどこだろ?

自分に被せられている真っ白なシーツに覆われた布団を剥ごうとすると、ベッドの端に伏せて眠っている人が見えた。

リク……?

まだ状況が把握できないあたしは、リクの寝顔を不思議そうに眺めていた。

辺りを見回してやっとここがどこなのか理解し始める。


お兄さんがリクを呼んだのかな……


病院で倒れるなんて、なんという人騒がせな。

自分の愚かさに、はあ。とため息を付き、眠っているリクを見た。

あたしのこと心配して来てくれたのかな。

ああ……

また迷惑かけちゃったよ。

一応、自己嫌悪に浸っているけど、ホントは嬉しい。

だって三日ぶりにリクに会えたんだもん。


でも。リクが目を覚ましたら、ちょっと気まずいかな……


三日前のリクとの会話を思い出して、起き上がろうとしていた身体をまた戻す。


やっぱり、寝たふりは良くないかな。

心配してるだろうし……


布団の中でモゾモゾしていると、リクが動く気配がしてあたしの身体は硬直した。


無理無理っ。

今、リクと何を話せばいいのか分かんないよ。


寝たふりを続行したあたしの様子を瞼の向こうで窺っているようなリクの気配……


すぐにでも目を開けて大丈夫だよって安心させたい。

だけど。その先は?

目を開けるか開けまいか迷っている間にリクの指があたしの額に振れると、緊張のあまり呼吸が止まる。

あ、開けられない……

おでこにかかった前髪を分けるようにリクの指先が動く。

あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


もしかして、寝たふりだって気づいてる?気付いててわざとそうしてる?


止めた呼吸で苦しいのとどうしたらいいのかという困惑とでおかしくなりそうな時、おでこに柔らかい物が触れた。



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