その仮面、剥がさせていただきます!
ユメカが言うにはリクとあたしは春休み中に別れたらしい。

いったいどこからそんな噂が流れたのか知らないけど、もしその噂を鵜呑みにした誰かがリクに告白していたとしたら……


こうしちゃいられない!


ユメカの話しを聞きながら座ったばかりの椅子だったけど、それを勢いよく押しのけるとゴンッと後ろの机にぶつかったがそんなことはお構いなしに廊下に飛び出した。

その時、教室に入ってこようかとする人に真正面からぶつかってしまった。

「開始のベルは鳴ってるぞ」

頭の上から声がして見上げるとそれは澤田先生だった。

「あれ?センセーなんで??」

先生の胸に思い切りぶつけたおでこを押さえながらそう尋ねると、澤田先生は項垂れた。

「お前な~掲示板のクラス発表を見てからこの教室に来たんだろ?普通担任の名前確認するだろ?」

「担任……?」

「ボケッとしてないで上原も席につけ」

出席名簿であたしの頭上をコンと軽く叩くと、澤田先生は教壇に向かって歩いて行った。

リクの事は気になるが……仕方ない。

出席番号順で決められた席に座り黒板の前で話す澤田先生に目を向けた。


澤田先生が担任なんだ……


高校三年生の初日。

新しいクラスの雰囲気にも当然慣れてないけど、新鮮な気持ちでスタート!……とはいかない。


リクは今頃何を考えてるんだろ……

新しくできた彼女とのこれからのことでも考えてたりして……


あたしの時みたいに名前はどう呼ぼうかとか考えたりしてんのかな?

一緒に帰る約束とかももうしてるのかな……


彼女……どんな子だろう……


机に顔が沈んでしまうんじゃないのかって思うほど気分が重くなる。


ダメだダメだと思っても、つい自分の嫌な方に考えが行ってしまう。


リクはあたしとまだ付き合ってるってみんなには嘘をついてほしいって言ってたけど、可愛い子に告白されたら断らないよね。だってホントは彼女なんていないもん。


結局あたしには心を開いてくれなかったけど、これからの彼女にはお母さんのことも話せるといいな……


はぁ。


そんなこと本気で臨むほどいい子ちゃんにはなれないよ。




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