その仮面、剥がさせていただきます!
テニスの……ブッ
あたしのツボに嵌りまくって廊下を歩くときに何度吹き出したことか。
靴を履き替えて門まで歩く間にテニスコートが見える。いつもなら気にならないのに澤田先生があんなことを言うもんだから椎名浩太がどんなものか見てみようと歩きながらコートの中を探していた。
「上原さん今帰り?今までいたの?」
振り返ると首筋の汗を拭いながら満面の笑顔をあたしに向けた浩太が立っていた。
フェンスのこちら側に張り付いてテニスコートを見ていた女子達の視線が痛い。
「少しでも早く終わらせたくて。でもあんまり進まなかったけど」
「一人でさせてゴメン。明日は僕が二人分頑張るよ」
それって明日はあたしは行かなくていいってことだろうか?
そうじゃないな。行かなかったら行かないで終わるのが伸びるだけだもん。
それじゃ。と言って帰りかけると浩太から呼び止められた。
「何?」
チラリとコートの方を見ると女子達が睨んでいるのが分かる。
こんなのはリクの時だけでいい。
迷惑そうにしているとコート側から仲間が浩太を呼んだ。
「浩太ーーー!試合はじめるぞ」
「おう」
浩太は手を上げ仲間に答えると首に掛けてあったタオルを外した。
「今日のアレだけど。海道の計算だって分かってる?」
「え?」
浩太を見るともうすでにコートの中に入っていた。