その仮面、剥がさせていただきます!
拓にぃを玄関先で見送ると部屋で着替えて隣の玄関の前に立つ。
リクはとっくに帰っている筈。
拓にぃが出かける前に言っていた。
「律子が帰ったら隣に来いって。陸人からの伝言」
リクはあたしのことを待っていてくれているのかな。
浩太が言った言葉は気になるけれど、リクがあたしのことをどう思っているのか気になるけれど、その気になることの解決方法はここにしかないとあたしはリクの部屋のチャイムを押した。
けれど……
扉が開いて出てきたのはリクではなくてあたしを見た瞬間に怪訝そうな顔をした春樹だった。
「なんか用か?」
「あんたこそリクになんの用なのよ」
春樹の後ろを見て部屋の中を窺うけどリクが出てくる気配はしない。
「リクは?」
「買い物に行った」
素っ気なく言うと春樹は廊下を歩いて行ってしまった。
いちいち癇に障る奴だ。
あたしへの春樹の態度にムカつきながら脱いだ靴を揃え春樹の後ろについていく。
春樹が座ったソファの隅っこにあたしも腰を下ろすと嫌そうな顔をされた。
「あんたに聞きたいことがあるんだけど」
あっちへ行けと言われる前にあたしは春樹に話しかけた。
「面倒くせーことは聞くな」
「今日教室でリクがあたしにしたことだけど、あれって計算なの?」
春樹に聞くのはあたしの自尊心が許さないけどこの際仕方ない。
あたしの隣で肘を付いてダラケモードになっていた春樹が驚いた顔でこっちを見た。
「鈍感なお前でも気づいてたのか……」