その仮面、剥がさせていただきます!
気づいてたって何を?
「そ、そりゃ~もちろん」
何に気づいてたのか分からないけど春樹にバカにされるのも嫌で顔を引きつらせながらあたしはそう答えてしまった。
「そうか。だからショックで固まってたんだな。それで陸人に先に帰れって言ったのか」
何かに納得したように春樹はうんうんと頷いている。
どうしよう困った。
春樹のこの様子だと浩太の言ったことは正しかったってことだけど、春樹にも浩太にも理解できていてあたしにだけ理解できないって……
それってどうなの?
「やっと陸人がお前に気がないって分かったか」
「気がないって?」
「だってそうだろ。陸人とお前が別れたって噂が流れたら困るのは陸人だろ?だからお前を使って噂を一掃したってこと。
あそこまですることはないって思うけどな。確かにアレは効果覿面だったから仕方ないちゃ~仕方なかったわな」
あたしを使った……
そういうことか。
なんだ。
そんなことは付き合ってるフリをしてって頼まれた時から分かってたのに、あたしは何を期待してたんだろう。
「ほらな。オレの言った通りだろ?陸人は誰も好きにはならないって。今更落ち込まれてもなぁ」
「別に落ち込んでなんかない」
あたしは自分の気持ちを悟られないように強気で言い返すしかなかった。