その仮面、剥がさせていただきます!

「どうしてりっちゃんなんだろう……」

奈緒子はそう言い残して行ってしまった。


あたしだって思うよ。

なんであたしなんだろうって……


奈緒子とリクとの間に何があったのか決定的なことは知らないけど、リクだけが悪いってことはなさそうだなとそう思う。

リクは優しいし何でも器用にこなす。

女の子の気持ちも分からないわけじゃなさそうだし落ち込んだ時の慰め方も知っている。

ただ。リクの中に無理やり入りこもうとすると怖いぐらいに拒絶される。

奈緒子はそのことが冷たいと感じたんだろうか?




色んな思いをかかえて今日もまた準備室に行く。


プリントの山との格闘の前にトイレを済ませようと準備室の手前にあるトイレに入る。

個室のカギを開けて出ようとするとドアが開かなかった。


初めは自分のカギの開け方が悪いと何度もカギを動かした。

けれどいくら動かしてもドアはびくともしない。

これはカギの所為ではないと思って狭い個室の中でドアに体当たりをしてみる。

助走もなくて力も入らないからかあまり意味はなかった。


どうしよう……


幸いスカートのポケットの中にケータイがあった。

あたしはケータイを取り出すと一番にリクの番号をだした。


ダメだ……

もしも誰かに閉じ込められたんだとしたら、リクに心配させるようなことはできないよ。

それにここって女子トイレだし?


そうだ!


今度はユメカの番号をだしてすぐに電話をかけた。


「……なんで出ないのよ」


繰り返しかけてみても繋がる気配がない。



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