その仮面、剥がさせていただきます!

いっそ大声を出してみる?

「すみません!誰かいませんか~~~?」

遠慮しがちな声でドアに向かって言ってみるけど人の気配はしない。


準備室の辺りってあんまり人が通らないのよね。


って呑気にしてたら本当に学校に誰もいなくなってしまう。


あたしは開かないドアを何度も叩いた。


こういう時に頼る相手もいない……

無条件に助けを求められる相手がいない……


ドアに打ち付けていた手を下におろしてその場に蹲る。

赤く腫れた手を擦りながら泣きそうになってしまった。


あたしをここから出してくれる人は一人もいない。


そう思うと目に涙が浮かんでくる。


もう少しで涙が瞳から零れそうな時、ドアの向こう側に足音が聞こえた。


「誰?」


助けてっていう言葉じゃなくて咄嗟にそう聞いてしまう。


もしも誰かに閉じ込められたとしたら、その張本人かもしれない。


ドアの向こう側にいる人は何も言わない。


「待って。行かないで!ドアが開かないみたいで……」


もう一度ドアを叩いてみると少ししてやっとドアが開いてくれた。




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