その仮面、剥がさせていただきます!

「良かった……ありがとう」

お礼を言いながら顔を上げるとそこに居たのは浩太だった。


「早く。出るよ」


あたしの手を掴んで急いでトイレの出口に向かう。

準備室に入ってから浩太の手があたしから離された。


「何か聞こえると思ったら上原さんだったんだね。すぐに助けてあげられなくてごめん」

ううん。とんでもない。

浩太がいなかったらもしかするとあたしは朝まであそこから出られなかったかもしれないと思うとゾッとする。


「女子トイレだから入りづらいよね。ホント助かったよ。でもなんでドアが開かなかったんだろ」


建付けの問題だとしたら、ここぞとばかりに澤田先生に文句を言ってやる。


「誰かが開かないように細工してたんだ。誰か心当たりはある?」

細工?

もしそうだとしたらあたしがトイレに入った後に誰かが開かなくしたってこと?

あたしには分からないと首を横にふった。


「海道と付き合ってるっていうだけで敵は多いと思うよ。気を付けた方がいい」


そう言って浩太はいつもの椅子に腰を下ろした。


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