その仮面、剥がさせていただきます!

「リク……」


リズムよく包丁で野菜を切っているリクに後ろから呼びかけてみる。


「お腹空いた?もうちょっと待っててね」


まるで奥さんのようだとリクに悟られないように笑いを堪えて椅子から立ち上がった。



リクは文句ひとつ言わずにどうしてそんなにあたしに尽くしてくれるの?


どうしてそんなに優しいの?


どうしてこんな何も取り得もないあたしと付き合いたいって思ったの?


どうして好きって言ってくれないの?


どうしてっていう想いはいっぱいあるけど、それ以上にあたしはリクが好きだから。



だから……



台所に向かって立っているリクを後ろから抱きしめた。


リクは驚いて「わっ」と声を上げる。


「危ないよ」


トントンって鳴ってた包丁の音がしなくなった代わりに、リクの背中からリクの心臓の音が聞こえた。


その音を聞いてるとすごく安心できる。





「リク。大好き」




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