その仮面、剥がさせていただきます!

「リツも眠れない?」


「…………」


あたしはリクに返事をしない。


「リツ?」


「…………」


シーンと静まり返る部屋の中。


抱き枕を抱えた腕に力が入る。



リク。あたしはもう寝たのよ。


寝転んだら3秒で眠れる女なの。


だからリクもとっとと寝て頂戴!



後ろにいるリクが二人の間にある抱き枕を越えてあたしの様子を覗き込んでいる。


あたしは寝たふりがバレないように目をぎゅっと固く閉じた。


「へ~リツはもう寝たんだね。それじゃ俺のやりたい放題……」


リクは何かのセリフを読んでいるような口調で言うと背中にあった二人の境界線を抜き取りベッドの下に放り投げた。


それでもあたしは抱き枕を抱えてビクともしない。



そんな脅しに負けてたまるかってんだ。



リクとあたしの意地の張り合いが始まった。



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