その仮面、剥がさせていただきます!

棚にファイルを立てかけて戻ってきた浩太は椅子に座るとまたプリントを手に持つ。


この人は真面目なんだろうなって感じる。


それに助けてももらったし。


簡単に人を疑ってはダメでしょ。


きっとあたしの勘違いだったんだわ。うんうん。


ってことでこの話はこれでお終い。


「誰と話してんの?」


あ。あたし声に出してた?


「別に何でもないの」


いかんいかん。気を付けよっと。


また作業に没頭していると準備室のドアが開いた。


「上原!サボってないだろうな」


澤田先生がそう言いながら入ってくる。


「こんなに忠実な生徒になんて言草ですかっ」


それにどうしてあたしだけ?


「頑張ってる椎名に差し入れだ」


だからどうしてあたしだけサボってるって思ってるんだ?


コンビニ袋を机の上に置いた瞬間、あたしは先生から袋を奪った。


なんだちゃんと二人分あるじゃない。


「プリンにシュークリームにチーズケーキ……あたしの為にこんなにありがとうございます」


あたしというところを強調して言う。


「おお。そうだ。さっきそこに海道が女の子と一緒にいた……けど?」


先生の話しを最後まで聞かずにあたしは準備室を飛び出していた。


< 216 / 256 >

この作品をシェア

pagetop