その仮面、剥がさせていただきます!
澤田先生は浩太のお母さんと別室で話しをしている。
あたしは待合室で浩太と二人が出てくるのを待っていた。
「椎名くんは右手が利き手だよね。授業のノートとかあたしがとるから絶対に動かしたらダメだよ」
今はこんなことしか思いつかないけど少しでも早く治ってほしい。
「そんなに気にしないで。僕の事を心配してくれるのは嬉しいけど、上原さんが泣くの悲しいから」
隣に座っている浩太の手が近づいてきたと思ったらあたしの目の下を指でなぞった。
向かい合った浩太の瞳は優しく笑っているけど、どことなく寂しそうな気がする。
あたしは慌てて浩太から顔を逸らすと自分で目をごしごし擦った。
泣いてたって気づかれてしまった……
浩太には恥ずかしいとこばかり見られてしまう。