その仮面、剥がさせていただきます!


浩太と浩太のお母さんの背中を見送ってからあたしは先生の車に乗り込むとシートベルトを締めた。


取り敢えず早く帰ってほしい。



リクに電話をしてから少しして話し終えた先生と浩太のお母さんが部屋から出てきた。


思ったよりも早く帰れそうだともう一度リクに電話しようかとも考えたけどやめておくことにした。


また素っ気ない態度をされるのも嫌だし……ね。




「遅くなっちまったな。何か食べて帰るか?どうせ帰っても一人だろ?」



駐車場から車を出すために後ろ向きでバックをしている先生と目が合う。



「いいえ。ソッコーで帰って下さい!」


「なんだ。慌てて帰らなきゃいけないことでもあるのか?明日は休みだし……」


「いいえ!びゅんびゅんかっ飛ばしていちゃってください。なんなら空を飛んでもいいですよ」


「………………」



寄り道なんてしてる場合じゃないのよ。



一秒でも早くリクの顔を見ていつものリクだって感じて安心したかった。



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