その仮面、剥がさせていただきます!
マンションが近くなってくると落ち着きがなくなってくる。
意味なく髪に触ってみたり頬を手で覆ってみたり。
暗くて景色なんかほとんど見えないのに周りをキョロキョロと見てみたり。
「今度は挙動不審か」
呆れるように運転席にいる先生はため息をついた。
「あと何分ぐらいですか?」
「何回聞いても早くならないぞ。いいか上原、車は空を飛べない」
「そんなこと真面目な顔して言わなくったって分かってますよ。飛ぶぐらい早く帰ってほしいってことですよ」
子供じゃないんだからと呆れるように言うとまた先生はため息をついていた。
「あれ海道じゃないか?」
先生が言うのと同時ぐらいにあたしの目もリクらしき人影を捉えていた。
車が近づいていくとコンビニの横の歩道に立っているリクがはっきりと確認できた。
やっぱりあたしのことを心配してくれてたんだ。
自分のことを迎えに来てくれたとばかり思って舞い上がるあたし。
リクが背中を向けるとコンビニから女の人が出てきた。
何か言葉を交わした後に女は笑顔でリクの腕にしがみ付く。
二人は並んでマンションとは逆の方向に歩き出した。