その仮面、剥がさせていただきます!

近くのファミレスに先生と向かい合って座っていた。


「なんでも好きなものを言えよ。遠慮はするな」


どことなくムリして明るく振舞ってくれている先生に申し訳なく思いながらメニュー表のパスタを指さして注文をした。


「センセーは彼女いるんですか?」


あたしの質問が突発過ぎたのか先生は含んだ水を吹き出していた。


「なんだよ唐突に……」


「センセー汚いですよ」


目を細めながら紙ナプキンを渡すとこっちをちらちら見ながら先生は口を拭いた。


「彼女がいたらこんなところで上原とご飯食べたりしてないだろ」


「それはあたしに恋愛感情があるということですか?」


「なっ。冗談だろ?」


もちろん冗談である。


冗談でも言っていないと考えなくてもいいことまで考えてしまいそうな自分が怖かったから。



「オレには今は彼女とかいないけどもしも自分が上原の立場だったら、やっぱり追及はしないかなって思うぞ」


「何もしないってこと?」



それじゃ浮気したもん勝ちって気もする。


相手が傷つくことを承知でしていたとしたらサイテーだ。


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