その仮面、剥がさせていただきます!
廊下を歩きながら澤田先生の話しを思い出していた。
―――「浮気をしたら普段とは違う行動を起こすもんだ。例えば急に優しくなったり挙動不審になったりってな」―――
まさか……ね。
あんな場面を自分の目で見ていてもあたしはまだリクの事を心のどこかで信じていた。
「あ。リツおかえり」
いつもと変わらないリクの笑顔に出迎えられると先生の言葉も吹っ飛んだ。
「ただいま。遅くなっちゃったね。もしかして待っててくれたの?」
「え?あ。うん。大変だったね」
リク。ちょっと慌ててる?
「あたし。ご飯食べてきちゃったから……」
冷蔵庫を開けたリクの背中に申し訳なさそうに呟いた。
「そうなんだ。俺も今日ちょっと遅かったから何の用意もしてなかったんだよね」
ちょっと遅かった?
「何かあったの?」
冷蔵庫を閉めたリクは振り返ったけどあたしの目を見ずに答えた。
「ん……大したことじゃないよ」