その仮面、剥がさせていただきます!

リクは顔色一つ変えないで電話に出ると「ちょっと出かけてくるから」と言い残して行ってしまった。


電話の相手は誰だったんだろう。


さっきの女の人に呼び出されたのかな。


リクの後をつけたい衝動に駆られたけど、それはやめておくことにした。


これ以上自分を嫌いになれない。


それに、もしも決定的な現場を見てしまったらあたしは一生立ち直れない気がする。


もやもやした気持ちでリクを待つのは途轍もなく長かった。



一時間ほどしてリクが帰ってきた。


あたしは主人を待ち焦がれていた子犬如くリクの傍に駆け寄ると何も言わずに抱きついた。


リクが帰って来てくれたことが嬉しかったから。


一人きりでリクを待つこの部屋は寂しく感じて、リクがもう帰ってこないんじゃないのかって思うと泣きそうなくらい怖かった。


腕の下から背中に回した手でぎゅうっとリクを抱きしめた。


それに答えるようにリクがあたしを抱きしめてくれる。


きっと大事な用があったんだ。


きっとそう……


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