その仮面、剥がさせていただきます!
油断も隙もない。


大人しくあたしの方を向いて座っている椎名くんが言った。


「もしかして。海道と別れた?」

「え?」


別れたって言葉を聞くとそうかもしれないって思えてくる。


泣きたくないのに自然に涙が流れてきた。



「泣かないで」



リクへの想いが涙になって溢れてくる。




ご飯を食べてるあたしを見て嬉しそうに笑うリク。

誤解して飛び出したのに必死で探しに来てくれたリク。

あたしのことをいつも心配してくれる優しいリク。



リクと一緒に過ごした日々が走馬灯のように溢れてきてあたしの涙は止まらない。


「うぅ……」


あたしはいつのまにかこんなにリクの事を好きになっていた。


リクがあたしにしてくれたことはたくさん思い出すのに、あたしがリクにしてあげたことは一つも思い出せない。


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