その仮面、剥がさせていただきます!

「あたしやっぱ今日は帰るよ。椎名くんも部活の見学に行くでしょ?」


もう大丈夫だよと安心させるように笑顔を作ったけど、泣いて腫れた目や頬に違和感がある。

それでもなるべく明るく振舞っていた。

机の横に置いてあったカバンを掴み「それじゃお先に」とまた笑顔を作る。


「帰ったら今度は一人で泣くのか?」


まだ解決どころか気持ちの整理もできてないけど、ドアを開けていた手を止めると、あたしは振り返って椎名くんに笑顔で答えた。


「もう泣かないよ」


椎名くんの表情は硬く強い瞳はあたしを捉えている。


「やだな~もう大丈夫だって」


そう言えば言うほど椎名くんの顔は怖くなっていた。


立ち上がった椎名くんがあたしの傍に来ると左手があたしの肩を抱きしめた。


あたしの顔は椎名くんの胸の中にすっぽりと収まっている。


「全然大丈夫じゃないだろ?」


その言葉と優しさにあたしの涙腺はまた緩んでしまった。



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