その仮面、剥がさせていただきます！
「リク離して！」

リクの手を振りほどく度、握り直されたリクの手の力が強まる。


マンションのリクんちの玄関の中に入れられるとやっと手を離してくれた。


「入って」

「嫌だ。リクと話すことは何もない」


玄関から出ようとするとリクがドアの前に立ちふさがる。

下を向いたあたしは靴を履いていないリクの足が見えた。

そこまでしてあたしを行かせたくない理由が分からない。


「行かないでほしい」


あたしを呼び止めるリクの気持ちが分からない。


「あたしは……」


リクの顔をまともに見ることが出来ないでいた。

今のあたしはリクに何を言ってしまうか分からない。

傷ついている自分よりももっとリクを悲しませてしまうかもしれない。


「リツ……」


他の子にしたようにあたしの名前を呼ばないでほしい。


他の子を抱きしめた手であたしに振れてほしくない。



他の子にしたように……



「あたし、帰る」


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