その仮面、剥がさせていただきます!
リクともう会わなくてもいいと思う一方、もう一人のあたしはそれと反対のことを思っていた。


人間とはやっぱり複雑だ。


考えながらベッドの上でウトウトとしているとチャイムの音で目が覚めた。


リビングに人のいる気配がする。


あたしは部屋のドアを開けようとしてその手を止めた。


「あの。リツは?」


リクの声だ。


「律子はオレが用事を頼んで外出してる」


嘘ばっかり。

大体。リクが来ても追い返せって言わなかったっけ?

あたしはドアを開けることをやめてその場に座り込むとドアに耳を張り付けて二人の様子を探ることにした。


「そっか……だったら帰ります」


たぶんリクはまた来ますと言ってリビングを出ようとしている。


「律子とまた喧嘩か?」


たぶんそれを呼び止める拓にぃ。


「喧嘩というか……」


「まあ座れや。律子は一時間は帰ってこないと思うぞ」


どうやらあたしは暫くの間帰ってこないことになっているらしい。


もう。拓にぃ何なのよ。

リクが帰るって言ってるんだから態々引き止めなくっても。


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