その仮面、剥がさせていただきます!
キョロキョロと職員室の中を見回すがリクの姿はどこにもない。
さっきまで一緒に歩いてたのに……
不思議に思って廊下に出てみると、大量のノートを抱えたリクが立っていた。
「ごめんね。あたし持っていくよ」
「いや。重いから俺が持ってく」
どうして一緒に入らなかったのか疑問に思いながらも、職員室に入っていくリクの後ろを歩いた。
「センセーこれ残りのノート!ではあたしはこれで失礼しますからね」
リクがあたしの置いたノートの隣に倍以上ある厚みのノートを置く。
すぐにでもこの場を立ち去りたいのに、また澤田先生が呼び止める。
「海道~上履き履けよ。もう何度も注意してるよな。だいたいさ……」
澤田先生がリクにブツブツと小言を言い始めた……
あたし、早く帰りたいんですけど。
なかなか終わりそうにない澤田先生の小言をリクは黙って聞いている。
ああ……ノートを持ってくるのを手伝わせたばかりに、リクが先生に怒られるハメになってしまって……
なんだかな。責任感じる。
リクはこうなることが分かってたから、職員室に入らなかったんだ。
「先生。お言葉ですが」
とりあえずこの先生を黙らせようと、あたしはお説教の間に割って入る。
「おう。お前たち付き合ってるんだろ?上原からも言ってやってくれ」
「付き合ってるっていうか……」
「何?付き合ってないのか?お前たちの噂、よく聞くぞ」
『付き合っている』という単語に自然と顔が赤くなる。
って……そうじゃなくて!
「センセー。靴を履いてる海道くんは確かに悪いのかも知れないけど、こうやって他のクラスの重いノートをここまで運んでくれたんです。それなのに、いきなり説教って酷くないですか?」
そしていつも手伝ってやってるあたしにも感謝しろってんだ。
「……確かにそうだな。まあ。今度から気を付けろ」