その仮面、剥がさせていただきます!
「なんかさ。悪かったね」
まんまと澤田先生を黙らすことに成功したあたしは、リクと廊下を歩いていた。
鞄を取りに一度教室に戻る。
「ううん。別にいいけど」
「よかないわよ。大体、元はと言えば澤田先生があたしにばっか用事を頼むのがいけないんじゃない!そうよ。ねぇ。そう思わない?それなのに」
「もういいよ」
それなのに説教って……と続けていたらリクが言葉を遮る。
「リクがいいなら……いいや」
いつもなら『いいんだよ』って、ここで王子スマイルのはずが、今日のリクはなんだか沈んだ顔をしている。
いつもは何があっても変わらず穏やかに微笑んでいて、感情をあまり出すことはないリク。
この人は驚いたり、嬉しくて大声で笑ったり、怒ったり、泣いたり……したことがないんじゃないのかって本気で思ってたのに。
調子が狂う。
自分の机の上にある鞄を掴むと、リクが待っている廊下に出て、昇降口まで並んで歩く。
「あのさ。俺、リツに聞きたいことがある……」
「え?何?」
あたしだって聞きたいことあるよ。
例えば、リクはどうしてスリッパを履かないとか。
この流れで聞いてやろうと考えていた。
「リツさっき言ってたよね。リツは……」