その仮面、剥がさせていただきます!
「おう。山猿。今から山にお帰りか?」
振り返ると、鞄を肩に担いだ春樹がニタニタと笑いなが、こっちに歩いてきていた。
「あんた。タイミング超~悪いわよ!」
絶対聞いてやろうって思ってたのにィ。
あたしだけ靴を履き替えると、リクと春樹があたしの両サイドにいて並んで歩いている。
右には完璧なまでに可愛らしい顔で微笑んでいる王子様。左には王子様とは対照的だけど、俺様的なキリリとした顔の毒舌王。
両手に花って言いたいけど、片方はドクダミだなこりゃ。
毒舌のドクダミ……
ぶっ。(失礼)
そんなことより、邪魔なドクダミを排除しよう。
「なんであんたまで一緒に帰るのよ?」
喧嘩腰に言う。
「は?調子こいてんじゃねえよ。陸人はお前だけのもんじゃねえ。みんなの陸人だ」
「訳わからん……」
シッシと頭の上のハエを追い払うように手をヒラヒラさせた。
お前はハエ以下じゃ。
「お前に権限はないの。陸人一緒に帰ってもいいよな」
隣のあたしを追い越し、春樹の言葉がリクに届く。
きっとリクはこう言う。
『いいよ。友達も大切にしなきゃ。それが男でしょ』って……
大体。予想できる。
右隣にいるリクが微笑み整った口を開いた。
「俺。リツと二人で帰りたい」
あれ?予想外れちゃった……
まあ。たまにはそんなこともある。