その仮面、剥がさせていただきます!


友達よりカノジョ優先って、王子マニュアルはそうなってるのかな?


そんなことを考えながら、一人で帰って行った寂しそうな春樹の背中を思い出していた。


「リツって春樹と仲いいよね」

「は?どこが!?」

「だって二人を見てると楽しそうだから……」


リクはどういう感性をしてるのか。

どこをどう見ても、仲悪いじゃない?


もしかして、ヤキモチ……とか?


ないない。それはないわ。


あたしは頭に浮かんだ考えを慌てて否定した。



「リツ。今日はどこか寄り道しない?」


そう言ったリクに付いていくと、いつもとは違う角を曲がり、いつもとは違う交差点を渡る。

足を止めたリクの前に、可愛らしいカフェがあった。

オレンジ色の外観で、木枠のドアには色とりどりの綺麗なガラスが組み込まれている。

そのドアを開けお店の中に入ると、天井には太い木の梁がインテリアの一部として見え、壁をくり抜いた棚には、木で作られた赤い帽子をかぶった小人やら座った猫やらのおもちゃが飾ってある。


「ここって、確か雑誌に載ってあったとこ?」

「リツも知ってたんだね」

若いカップルや学生たちがそれぞれの会話を楽しんでいる横を通り、空いている窓際の席に案内された。




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