その仮面、剥がさせていただきます!
自分の妄想を消し去ろうと、ブンブンと頭を振っているあたしをリクが不思議そうに見ている。

「何でもないの」

気にしないでと横にあった冷めた紅茶をガブガブと飲み始めた。



分かってる。

こんなあたしは全然女の子らしくなくって、何もかもがリクと釣り合わないのことも……

でも。そんなこと関係ないよね。


あたしは王子のことを探るためにこうしてリクと一緒にいるだけなんだから。




リクがケーキを食べていたフォークを置くカチャリとした音が聞こえた。


「リツはどうして俺と付き合おうと思ったの?」


まだ飲んでいた紅茶を吹き出しそうになる。


「さっき。言ってたよね。『付き合ってるっていうか』って……」


確かに……

職員室で澤田先生にそう言ったような。

あたしが思い出しているそのわずかな時間に、リクの顔が見る見る間に沈んでいく。


今日のリクは本調子じゃないのかも。

もしかすると、本当に体調が悪いのかもしれない。


「あれはね、照れたの。『付き合ってる』っていう言葉って、他人から言われるとなんだか恥ずかしいでしょ?」

リクを心配してそう言った。

なのに……

「リツは俺と付き合ってることが恥ずかしいんだ」


は?どうしてそうなる。

寧ろ、恥ずかしのはリクの方じゃない?

あたしは出かかった言葉を喉の奥に押し込めた。


「恥ずかしくなんかない。あたしはリクと付き合いたいと思ったから言ったんだよ」


それは嘘じゃない。

ズルい言い方だって分かっているけど、こんなあたしに優しくしてくれるリクのことを傷つけちゃいけない気がした。



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