その仮面、剥がさせていただきます!



リクはどうしてあたしと付き合おうと思ったの?



ホントはそう聞き返したかったけど、リクの答えは分かっている。




―――女の子からの告白を男が断っちゃいけないんだよ。



すでにもう聞いちゃったもんね……


この人は、あたしじゃなくても、誰の告白も断らない。


だから、こうしてリクとケーキセットなんぞを一緒に食べてるわけなんだけどさ。




お皿の上のパイの残りかすをフォークで突っつく。

リクはあれから何も言わない。



もしかして……

これが潜入捜査だってリクにばれた?

……もしそうなら、こうやってリクと一緒に帰ることもない。こうやってお洒落なカフェに寄り道することもない。お昼休みは注目を浴びずに静かにお弁当も食べられるし、リクと付き合ってるってことで女子から陰口を言われることもない……


その方がいいじゃない?


ただ、リクと知り合う前の平々凡々の日常に戻るだけ……





何も言わないリクを前に、あたしはどうしたらいいのか分からず、お皿に向いていた顔を上げた。



リクはそれを待ってましたとばかりに、可愛い顔でニコリと笑う。



「ちょっとドキッとした?」


はい?


リクは一冊の雑誌をあたしに見えるように広げ、指をさす。

指がさされた先にはデカデカと『彼女とのマンネリ化した付き合い回避法』という文字があった。


…………。



「これによるとね。長く付き合ってるカップルには倦怠期ってのがあって、一番いい回避法ってのが『彼女に付き合った時の気持ちに戻ってもらう』んだって。リツは今、あの時の気持ちに戻ったでしょ?」


だから……なに?


「俺たちの倦怠期。回避だね~」


おいおい。

いったい、いつ倦怠期になったんだ?



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