その仮面、剥がさせていただきます!
あたしの引きつった顔を見ているのかいないのか、リクは嬉しそうに笑っている。
まあね。バレてないならそれでいいけど……
リクの笑顔を見ると一気に肩の力が抜けたような気がした。
「リツ。春休みはデートしようね」
どこに行く?なんて、脱力しているあたしのことはお構いなしに、リクは呑気に雑誌を広げてデートコースを検索していた。
「ねえ。ここいいんじゃないかな?」とリクに言われると、仕方なくあたしもその雑誌を覗き込む。その時、あたしのケータイの着信音が鳴った。
あたしは店の外へ出てケータイをとる。それは電話の相手がユメカだったから。
≪ちょっと!!今どこ??≫
電話に出た途端、ユメカの大きな声が受話器から響いた。
「外だけど……何?」
≪王子の方はいったいどうなってるのよ?最近、王子がべったりだから、教室じゃじゃりっちゃんと話しできないじゃない!ちゃんと進んでるんでしょうね!?≫
「それが、なかなか……」
≪は?もう何やってんのよ!!≫
「そんなこと言ったって。あたしだって頑張ってるわよ!だけど、全然隙がないんだもん。文句があるんだったら、ユメカが代わりに潜入して!!」
≪それはムリ!!≫
「即答ですか。はぁ……やっぱあたしにはこういうの向いてないよ」
≪だったら、りっちゃんは王子の弱点を見つけて。それなら出来るでしょ?≫
じゃ、弱点?弱みってことよね?
「そんな~」
≪それでは、健闘を祈る≫
切れた電話を見詰めると、あたしはもう一度ため息をついた。