その仮面、剥がさせていただきます!
そう……なんだ……

でも。

もうあたしには関係ないよ。


昇降口にくると、いつもならここでリクが待っているのに、やっぱり今日はいなかった。

そりゃ、そうだよね。


ホッとしたような、ちょっとがっかりしたような気持ちで、下駄箱の扉を開け靴を取り出し、スリッパを入れようとすると、勢いよくその扉が閉まった。

「な……に……?」

あたしを囲む数人の女子に驚き、あたしの目は見開いた。

「ちょっといい?」

見たこともない女子の一人が凄ませた目であたしを睨む。

パンツが見えそうなほどの短いスカート。腰まである長い髪は緩めに巻かれていて、その子が瞬きをする度に、バサバサと聞こえてきそうなほどまつ毛には付けマが乗っかっている。


女子に囲まれながら、誰もいない体育館の中に連れて行かれると、後ろにいる誰かに背中を押され床に膝から転んだ。

「痛っ……」

床で擦れた膝から血が滲む。

もう。なんなのよ。

「あなた。ルールを知らないようだから教えてあげる。陸人と付き合うためのルールをね!」

「は?」

「陸人は私たちの王子様なの。誰か一人だけのものじゃない。みんなのもの。萌香の次はあたしの番だったのに、横から割り込むなんて。それだけじゃない。すぐに別れるって思ってたのに、まだ付き合ってるっですって!?冗談じゃない!」

言いたいことだけあたしにぶつけるとその女は、わぁと声をあげて泣き出した。

「あの……」

これはいったい……

「あんたのせいよ!」

あたしを囲んでいたお友達の一人が大丈夫?と泣き崩れた女の傍に寄る。


ええっと。

この場合はちゃんと潜入捜査だと説明した方がいい?

いやいや。その方が余計反感を買いそう……


微妙なところだけどもう別れたとでも言う?

それだと、今度はユメカの方が怖くなる……


うぅぅぅぅっ。


どうすりゃいいんだ!?





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