その仮面、剥がさせていただきます!
澤田先生ですら、料理ができるなんて……
今日はなんだか、色々な面で落ち込む。
あまりに元気のないあたしを哀れに思ったのか、帰りに先生は自分が持っている料理本を数冊貸してくれた。
これを見て勉強しろということらしい。
学校の教科書すら見ないあたしが、苦手な料理の勉強をすることになるとは……
トホホ……である。
あたしは食べるの専門なんだってば!!
「絡まれないように気を付けて帰れよ」
「あの……先生」
あたしは澤田先生にどうしても聞きたいことがあった。
「もしも自分の身長が今より4センチほど低くなったらどう思います?」
「それは心理テストか何かか?」
「まあ。そんなところです」
男の気持ちはきっと男にしか分からない。こんなこと聞ける仲の良い男子なんかいないし。
澤田先生は180センチ近くあるから、たった4センチの差など気にしないとは思うけど……
「そうだな……先生だったら」
「先生だったら?」
あたしは固唾を飲んで先生の答えを待った。
「……泣く」
そ、それは本気の答えでしょうか?
あたしにとっては不本意な料理本を抱えて家に帰ると、お母ちゃんが早々と荷造りをしていた。
あたしを見るなり「律子も部屋の整理しておいてね」と上機嫌だった。
「そんなこと言ったって、引っ越しは春休み中でいいんでしょ?何も今日しなくても」
あたしはまだ引っ越しって気分じゃないのよ!
そう目で訴えながらキッチンを出て行こうとすると、お母ちゃんはニコリと笑顔で一言。
「あら。引っ越しは明後日だから、今日中にお願いね☆」
んな……無茶苦茶な……
明日は二年生、最後の登校だっていうのに、あたしの数多くある苦手部門の中でも最も最強に苦手とする『お片付け』を強行させられたのだった。
春樹には殴られるし、リクとの関係はぎくしゃくしたままだし、おまけに女子軍団には囲まれるし……
おまけのおまけに、寝ずに引っ越しの準備ですか!?
こりゃ。あたしの今年の運勢。最悪ですな。
捨てられない症候群のあたしの隣で、容赦なく人の物をごみ袋に入れまくるお母ちゃん。
まあ。そうでもしてもらわないことには、一生かかっても引っ越しなんか出来ないだろうな。
って、出来ない方が良かったんじゃない?
と心なしか思ってしまうのはさて置き。
一晩かけて、あたしの見るも無残なお部屋がスッキリと片付き、新しいお部屋へと運ばれていく物だけが段ボールに詰め込まれ、隅っこに重ねられていた。
今日はなんだか、色々な面で落ち込む。
あまりに元気のないあたしを哀れに思ったのか、帰りに先生は自分が持っている料理本を数冊貸してくれた。
これを見て勉強しろということらしい。
学校の教科書すら見ないあたしが、苦手な料理の勉強をすることになるとは……
トホホ……である。
あたしは食べるの専門なんだってば!!
「絡まれないように気を付けて帰れよ」
「あの……先生」
あたしは澤田先生にどうしても聞きたいことがあった。
「もしも自分の身長が今より4センチほど低くなったらどう思います?」
「それは心理テストか何かか?」
「まあ。そんなところです」
男の気持ちはきっと男にしか分からない。こんなこと聞ける仲の良い男子なんかいないし。
澤田先生は180センチ近くあるから、たった4センチの差など気にしないとは思うけど……
「そうだな……先生だったら」
「先生だったら?」
あたしは固唾を飲んで先生の答えを待った。
「……泣く」
そ、それは本気の答えでしょうか?
あたしにとっては不本意な料理本を抱えて家に帰ると、お母ちゃんが早々と荷造りをしていた。
あたしを見るなり「律子も部屋の整理しておいてね」と上機嫌だった。
「そんなこと言ったって、引っ越しは春休み中でいいんでしょ?何も今日しなくても」
あたしはまだ引っ越しって気分じゃないのよ!
そう目で訴えながらキッチンを出て行こうとすると、お母ちゃんはニコリと笑顔で一言。
「あら。引っ越しは明後日だから、今日中にお願いね☆」
んな……無茶苦茶な……
明日は二年生、最後の登校だっていうのに、あたしの数多くある苦手部門の中でも最も最強に苦手とする『お片付け』を強行させられたのだった。
春樹には殴られるし、リクとの関係はぎくしゃくしたままだし、おまけに女子軍団には囲まれるし……
おまけのおまけに、寝ずに引っ越しの準備ですか!?
こりゃ。あたしの今年の運勢。最悪ですな。
捨てられない症候群のあたしの隣で、容赦なく人の物をごみ袋に入れまくるお母ちゃん。
まあ。そうでもしてもらわないことには、一生かかっても引っ越しなんか出来ないだろうな。
って、出来ない方が良かったんじゃない?
と心なしか思ってしまうのはさて置き。
一晩かけて、あたしの見るも無残なお部屋がスッキリと片付き、新しいお部屋へと運ばれていく物だけが段ボールに詰め込まれ、隅っこに重ねられていた。