その仮面、剥がさせていただきます!
『彩花』とは、昨日取っ組み合いをしたあの女?

「さ~なんのことか、あたしにはさっぱり。あたし、あんたみたいな暇人じゃないので、これで失敬」

話しどころか、顔も見たくない春樹の前を通り過ぎようとすると、春樹に腕を掴まれる。


「シラを切るなよ。陸人には言ってないみたいだな」

「……それって誰に聞いたの?」

「澤田だけど?」


あんの~お喋り野郎!!

あたしは確かにリクには言うなって念押ししたけど、春樹に言うのも同じじゃない!?

「リクは知ってんの?」

「さあ……知らないんじゃね?」

「じゃ。言わないで!」

男を取り合って取っ組み合いのケンカって……

あんなのっあたしの人生の汚点よ!


怒りに任せ、春樹の手を振り解くと、あたしはズカズカと大股で歩き出す。


ったく、どいつもこいつも!




リクだって……

あんなに毎日あたしに会いに来てたのに。

春休みにはデートしようって言ったのはリクでしょ!?

リクの王子スマイルだって、もう二日も見てないんだよ?


もう。何してんのよ!



そうさせたのは自分だって分かってる。誰かのせいにしたところでどうしようもないのに……

寂しさと不安が入り混じり、今日のあたしもイライラが止まらない。



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