その仮面、剥がさせていただきます!
お母ちゃんが旅立ってから、シンと静まり返った部屋に一人きり。

ちょっと寂しくなって、その寂しさを紛らそうと段ボールが積み重なった新しい自分の部屋に入り、取り敢えず段ボールから物を出した。

出して出して出しまくった結果……

足の踏み場もなくなるほど散らかった(汗)


「どこをどう片付ければいいんだ?」


途方に暮れてると、荷物山を越えたリビングでケータイの着信音が鳴っている。

あたしはそのゴツゴツ岩を登り、空の段ボール箱をかき分けると、転がっていたバックにダイブして、ケータイを取り出すことに成功した。

「もっしもし?」

達成感のあまり、画面を確認することなく電話に出た。

<リツ。何してたの?>

「何って……引っ越しの……」

<え?引っ越しって?>

驚いているリクにあたしが驚く。

「あれ?リク??」

<そうだよ☆>

「なんで?電話?……あれ?」

あたしの記憶が正しければ、あたしとリクは今微妙な関係のはず。

<なんでって、春休みになったから、デートのお誘い♪>

「デート……」

<明日リツの家に迎えに行くね>

家?

ちょい待ち。

「家はダメ!あたしがリクのとこに行くから」

<……分かった。じゃ、そうしよ。で、引っ越しって何?>

「何でもない!じゃ、明日ね」

そう言って、すぐに電話を切った。

危ない危ない……

同じマンションに引っ越したなんて、例えそれが偶然だとしても(完全に偶然なんだってば!)これって少しでもリクの傍に居たいって……周りからは、あたしがリクのことスッゴイ好きって見えるんじゃない?

イ、イタイ奴みたいじゃない?


それにしても……

あれからまだ3日しか経っていないのに、もう何週間もリクに会っていないような感じがする。

明日、何着て行こう……

今までだったら、着る服なんかどうでも良かったのに。

最近のあたし、どうかしてる……


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