その仮面、剥がさせていただきます!
駅から少し歩いて到着したのは遊園地。

スピーカーから流れている音楽にレールの擦れる音がする度に「きゃ~」って聞こえる叫び声。

たまらんですな。

あたし遊園地って大好き。


特に絶叫系が大好きで、ジェットコースターなんか一日中乗ってても平気。


心なしかリクの言葉数が減ってる気がするのは置いといて、あたしは迷わずジェットコースターの最後尾に並んだ。

「リツ。これに乗りたいの?」

「うん。これに乗るとね、スカッとするよ」


猛スピードで発進したマシーンにあたしの心は奪われている。


「これ。一回転するんだよ……」

「そうだね。楽しみ~」


遊園地に来たのはいつ以来だろう。


並んでいる列が移動する度に、あたしのワクワク度が膨らんでいく。


15分ほど並んでやっとあたしたちの番になると、係りのお兄さんに案内され、リクと隣同士にマシーンに乗り込む。


「ここに乗ると別世界にいるような気分にならない?」


話しかけてもあたしの声が聞こえていないのか、リクの言葉は返ってこなかった。


スリルと恐怖を味わい、醍醐味の絶叫を上げ、スッキリした気分で階段を下りていると、後から降りたはずのリクが後ろにいない。


下りてくる人をかき分けながら階段を上ると、手すりに手をかけて蹲っているリクがいた。


「リク!大丈夫?」

「あ……うん。たぶん大丈夫……」


顔色が悪く青ざめている。


「歩ける?」


取り敢えず、階段を下りたところのベンチにリクを座らせた。


「カッコ悪いよね……」

「苦手だったらそう言えば良かったのに」

「リツが楽しそうにしてるのが嬉しかったから……」


喋るのも辛そうに、顔を歪めたリク。


「あたし、飲み物買ってくるね」


リクの性格をもう少し分かってあげてればすぐに気づけたのに。


自分のことばかりで、相手の気持ちを分かってあげていなかったことを深く反省しながら、お店に向かって歩いていた。


天気のいいのもあってか、日曜の遊園地はどこも混んでいて、飲み物を買うのも順番待ち。


並んでいるあたしの順番が近くなった時、バックに入れていたケータイの着信音が聞こえた。


「もしもし?」


未登録の知らない番号だったけど、躊躇いながら電話に出る。


<律子か?今どこで何してる!>


出た途端に怒った口調で相手は言う。


だれ?


聞いたことのあるような声だけど、すぐに思い出せない。


「あの……」


<オレ様の声も忘れたかっ!!今すぐに帰ってこい!>



あ……もしかして。


「拓にぃ?!」


< 65 / 256 >

この作品をシェア

pagetop