その仮面、剥がさせていただきます!
「なんで、あたしの番号……」

<恵理子さんに頼まれてしょうがなく来てやったのに、来てみりゃお前はいないし>

って、お母ちゃんかい!

拓にぃあたしの引っ越したあのマンションにいるんだ。

なんだか面倒臭いことになってきたな……

「そんなこと言ったって、あたしだって出かけることだってあるよ」

終わりそうにない拓にぃの話に、並んでいた列から離れると、人気のない場所に移動した。

<何呑気なこと言ってんだ!お前部屋の鍵かけずに出ただろ>

「あ……」

そう言えば、リクの部屋の確認に行って、そのままリクとマンションを出たような……

<ドロボー入ってるぞ!部屋の中が滅茶苦茶だ!>

「え?!それは大変!何取られたの?」

<そんなことオレが知るかよ!!これから警察呼ぶから、お前は早く帰ってこい!>

「う、うん。分かった……」

どうしよう……

引っ越し早々、えらいことになっている。

<特に、お前の部屋が見るも無残なことになってんぞ>

「あたしの部屋?まさか、下着ドロボーとか?こわ~い。きも~い。それって、どこかでかわいい一人暮らしの女子高生がいるって聞きつけた変態野郎があたしの出かけるのを見てて、忍び込んだんだよ。どうしよ……」

<お前のそのアホくさい発想力は昔ながらだな。兎に角早く帰るこった>

「うんうん。そうする」

あたしの部屋が~

ってアレ?

「つかぬ事をお聞きしますが」

<は?何悠長なこと言ってんだよ>

「あたしの部屋って、入り口のとこに段ボールの箱が散らばってて、新しいベッドの上には服の山。教科書とマンガがごっちゃになってクローゼットの前に山積みされてて……」

<皆まで言うな……この……救いようのない大バカ女が!!危うく警察呼ぶとこだったぞ>

「だって~」

<だってもへちまもあるかっ!片付けしないでどこをほっつき歩いてる!!>

「……遊園地」

<は~ぁ??お前この状態でよく遊びに行けんな!あ”?」

それは自分でもそう思います、はい。


散々拓にぃに怒りまくられたあたしは、1時間以内に帰ることを約束させられ、やっと解放してもらえた。

こりゃ。帰ったら地獄が待ってるな。


帰るの怖い……


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