その仮面、剥がさせていただきます!
「リクは高い所は大丈夫なの?」
「たぶん……大丈夫」
たぶん?
怪しいとこだけど、自分から乗ろうって言ったんだから、それほど苦手ではないとは思う。
これって一周まわるのにどれくらいの時間がかかるんだろ?
観覧車の真下から仰け反りそうになりながら見上げる。
待ち時間と電車に乗ってる時間、駅からマンションまでの時間を入れて……
果たして、間に合うのだろうか?
動いている観覧車に素早く乗りこむと、手を繋いでいたあたしとリクは自然と隣同士に座る。
二人分の重さで少しだけ傾いた空間は思ったよりも幅が狭く、リクとの距離が近かった。
ゆっくりと地上から遠ざかり、空が近くなっていく。下を覗くと人や乗り物がどんどん小さくなっていくのが分かった。
「リク。喋らないけど、ホントに大丈夫なの?」
「……うん。リツは高いの平気?」
「あたしは高いのも平気だけど……」
リクの顔が強張っているのを見て、あたしはため息をついた。
「ダメなら乗らなきゃいいのに」
「いや……大丈夫だから」
リクが強がっているのは見え見えで、繋いでいるリクの手のひらが汗ばんできているのも本人は気づいていないんだろうなと感じるほど、リクに表情はなく一点を見つめていた。
デートで遊園地って言ったら観覧車。
きっと王子マニュアルにはそうなってるんだよね。
それにしても……
何も自分が出来もしないことを強制的にすることないのに。
得意苦手も度外視した訳の分からないリクの思考に、思わずあたしは吹き出した。
「か、カッコ悪いとか、やっぱ思ってるんだ」
「うん。うん。思ってる」
「リツ……ヒドイ」
ぎこちなくあたしの方を向いたリクは、情けない顔をしていた。
その顔に再度吹き出すと「もう!」と今度は怒っている様子。
それが可笑しくて、悪乗りで機体を揺らしてみた。
「リツ!座って!お願いだからジッとしてて」
かなり慌てたリクの様子に、あたしのS心に火が付いた。
「だって、平気なんでしょ?だったらこれくらいどうってことないよねぇ~」
「リツのいじわる!」
「たまにニュースでしてるよね。観覧車が止まって動かなくなったってやつ。あれってどうやって降りるか知ってる?今この観覧車が止まっちゃったら、ここから自力で下まで降りなきゃいけないんだよ?」
「…………」
「リク、下を見てみて。ほ~ら、こんなに高いとこにいるんだよ。落ちたら痛いだろうね~」
「…………」
すっかり大人しくなってしまった隣のリクは、あたしが機体を揺らした時から両手で手すりを握って俯いている。
「たぶん……大丈夫」
たぶん?
怪しいとこだけど、自分から乗ろうって言ったんだから、それほど苦手ではないとは思う。
これって一周まわるのにどれくらいの時間がかかるんだろ?
観覧車の真下から仰け反りそうになりながら見上げる。
待ち時間と電車に乗ってる時間、駅からマンションまでの時間を入れて……
果たして、間に合うのだろうか?
動いている観覧車に素早く乗りこむと、手を繋いでいたあたしとリクは自然と隣同士に座る。
二人分の重さで少しだけ傾いた空間は思ったよりも幅が狭く、リクとの距離が近かった。
ゆっくりと地上から遠ざかり、空が近くなっていく。下を覗くと人や乗り物がどんどん小さくなっていくのが分かった。
「リク。喋らないけど、ホントに大丈夫なの?」
「……うん。リツは高いの平気?」
「あたしは高いのも平気だけど……」
リクの顔が強張っているのを見て、あたしはため息をついた。
「ダメなら乗らなきゃいいのに」
「いや……大丈夫だから」
リクが強がっているのは見え見えで、繋いでいるリクの手のひらが汗ばんできているのも本人は気づいていないんだろうなと感じるほど、リクに表情はなく一点を見つめていた。
デートで遊園地って言ったら観覧車。
きっと王子マニュアルにはそうなってるんだよね。
それにしても……
何も自分が出来もしないことを強制的にすることないのに。
得意苦手も度外視した訳の分からないリクの思考に、思わずあたしは吹き出した。
「か、カッコ悪いとか、やっぱ思ってるんだ」
「うん。うん。思ってる」
「リツ……ヒドイ」
ぎこちなくあたしの方を向いたリクは、情けない顔をしていた。
その顔に再度吹き出すと「もう!」と今度は怒っている様子。
それが可笑しくて、悪乗りで機体を揺らしてみた。
「リツ!座って!お願いだからジッとしてて」
かなり慌てたリクの様子に、あたしのS心に火が付いた。
「だって、平気なんでしょ?だったらこれくらいどうってことないよねぇ~」
「リツのいじわる!」
「たまにニュースでしてるよね。観覧車が止まって動かなくなったってやつ。あれってどうやって降りるか知ってる?今この観覧車が止まっちゃったら、ここから自力で下まで降りなきゃいけないんだよ?」
「…………」
「リク、下を見てみて。ほ~ら、こんなに高いとこにいるんだよ。落ちたら痛いだろうね~」
「…………」
すっかり大人しくなってしまった隣のリクは、あたしが機体を揺らした時から両手で手すりを握って俯いている。