その仮面、剥がさせていただきます!
リクの発言にギクリと身体が硬直する。

どうして『高校生の女の子』って知ってるのよ?もしかして、あたしが入ってくとこ見られてた?

「へ、へ~そうなんだ?」

まだバレタとは決まっていない。あれはあたしじゃないのよ、って誤魔化すつもりだった。

「隣の子も一人暮らしなんだって」

「どうして一人暮らしだって分かるの?」

思わず聞いてしまう。

引っ越しの荷物を見ただけなら、あの量でとても一人暮らしだとは思わない。

やっぱり、見られていたんだろうか?

「『恵理子さん』って、あ。その子のお母さんなんだけど、恵理子さんが挨拶に来てくれて言ってたから」

って、またまたお母ちゃんかいっ。

「で、それがどうしたの?」

これはもう恐る恐る聞く。

「娘のことを頼みますって言われたんだけど、やっぱりそれはまずいよね。リツはイヤだよね」

「…………」

誰にでもあたしのことを託して行くのはやめてほしいです……

いつの間にリクのところに行ったのやら。

「頼まれた以上、何もしないわけにはいかないけど。お隣に行く時には、リツも一緒に……」

「イヤ!」

「え?」

「絶対に行かないで!!」

あたしはリクの両腕を掴み揺さぶった。


そんなことしたら、それがあたしだってバレるじゃない!!

リクに『キモイ勘違い女』なんて思われたくない!!


「リツがそう言うなら……」

「そうだよ。他の女の子のとこに行くなんて考えられない。リクはあたしと付き合ってるんだから」


正当な理由はそうじゃないけど、こう言えばリクは隣のことも気にしなくなるだろうって思った。


「リツ。それってヤキモチ……だよね」

「ヤキモチ!?」

自分が自分に嫉妬してどうする……

リクはあたしの事情を知らないから、そう思うのも分かるけど。

はあ……

なんだか疲れる。


外を見ると地上まではまだ遠い。


< 71 / 256 >

この作品をシェア

pagetop