その仮面、剥がさせていただきます!
あたしは自分の部屋に入ると、リクに借りた服を脱いで着替えを済まし、また隣のリクの部屋に帰って行った。

リビングにはお風呂上がりのリクがいた。

「よかった。帰っちゃったのかと思ったよ」

「ううん。着替えに行ってただけ。これちょっと着ちゃったけど」

借りた服をリクに渡すとリクはあたしに微笑んで服を受け取る。

「いいよ。あ。俺ここのソファで寝るから、リツはあの部屋のベッドで寝て」

あたしがここに帰ってきてホッとしている様子のリクを必要以上に観察する。

春樹とあたしが会ってるって思ったのかな。


「春樹。あのあとすぐに帰ったって」

「そう……」

今、リク安心した……よね。


『リクはあいつのことが好きなの!?』

って聞いてみたい!

ソファに横になって毛布に包まったリクを見ながら、喉まで出かかった言葉を押しとどめる。

だめだ。そんなことを聞いて、万が一でも『うん。そうだよ』って返事が返ってきた日には、あたし一生立ち直れないような気がするよ……


リクとあたしとあいつ。


あたしがいなかったら二人は上手くいくかも?

ううん。

その考えは速攻捨て去ろう……


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