その仮面、剥がさせていただきます!
目を開けると当然部屋の中は真っ暗だけど。

ね、眠れない……

この部屋にリクはいなくても、あのドアを開ければリクがソファで可愛い顔して眠ってる。

そう考えるとモヤモヤムラムラ……

って。

あたしは思春期の男子かっ!!


布団を剥いで勢いよく起き上がり頭をガシガシかいた。

全く眠れないよ。


考えてみれば好きな人の部屋にいるんだよ?

スヤスヤと簡単に眠りにつけるわけないじゃない!


壁に背中を凭れさせると膝の上におでこを乗せ、今日という日を振り返る。


今日は色んなことがあったな。

リクとの初めてのデート。観覧車ではドキドキさせられたっけ。

拓にぃがうちに来て、あたしの髪型も変わった。

春樹があたしのことを尾行してたとは……あれは失敗だったな。

リクにもバレちゃって春樹のこと殴っちゃうし……

あれ?違うな。殴ったのは春樹があたしにキスしたからで……


キス……

嗚呼。

また思い出しちゃったよ~


顔を埋もれさせながら落ち込むあたし。

どうしても思い出してしまう。

そりゃそうだよ。あれはあたしの初めてのキスだもの……

ううううっ。

初めてのキスがアレ?

あり得ない!あり得ない……あり……えないよ……


どん底まで落ち込んだ時、部屋のドアの開く気配がした。


「リツ……もう寝た?」


顔を上げると開いたドアからリビングの明かりがさしている。

その光が眩しくて目を細めると、影が動いた。

「また泣いてるの?」

ベッドが軋む音がしてマットが揺れると、あたしの顔を覗き込むようにリクが座っていた。

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