揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
『由佳さんも…デートだったんですか?』


そう返されて、ちょっと戸惑ってしまった。


≪由佳さん≫って言われた事に、かなり胸がキュンってしたものの。

デートって言葉にも、ある意味ドキッとしてしまった。


「うん……」


とりあえず、それしか言えなくて。


高崎君とつき合う事になったんだから、今日のもやっぱりデートに入るんだろうなぁ。


『……そっか。由佳さんの左に座ってた人ですよね?彼氏って』


「あ、うん」


なんだか…辛かった。

本当に好きな人に、彼氏の事を訊かれるなんて。


私が好きな人は、あなたなんだよ。


そう言えたら、どんなに楽なんだろうか?


親も公認の彼女がいる、小学生。

高校生の私が≪好き≫って言ったらどう思うのかな?


気持ち悪いとか、迷惑だとか、やっぱりそんな風に思ってしまうの?


『カッコイイ彼氏さんですね。お似合い…でしたよ』


彼の言葉が、私の胸を苦しくさせる。


もう…それ以上言わないで。

高崎君との事を言われる度に、あなたとの距離が開いて行く気がするの。


≪お前なんか、恋愛の対象外だ≫

そう、言われてる気がするんだ……。


「ごめん…もう、切るね」


ホントだったら、もっといろいろと喋りたかった。

だけど、心がもう持ちそうにないよ。


『あっ、すいません長々と。じゃあ……』


「うん、じゃあ……」


そして、私は電話を切った。
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