揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤

chapter13

今日は、月曜日。

明け方に降り出した雨のせいもあるのか、なんだか気分の晴れないまま俺は学校に来ていた。


「大翔ー、お前ってカードゲーム何持ってる?」


2時間目が終わった後の、20分の休み時間。

いつもなら外で体を動かすけれど、今日は雨だから外にも行けなくて。


図書室で借りた野球の本を眺めていたら。

一緒のクラスの雅志が、俺の前の席に座ってそう尋ねてきた。


「持ってないけど」


男子の間で流行っている、カードゲーム。

マンガやアニメになってるやつのだけど、俺は別に興味がなくて。


「え!?何も持ってねぇの?」


「あぁ」


珍しい物でも見るかのように言う雅志に、俺はきっぱりと答えた。

みんなには悪いけど、その面白さが俺には分からない。


「みんな持ってるぞ。お前ぐらいじゃねぇの?持ってないの」


「別に、いらないし」


そう言ってるのに、まだ雅志はぶつぶつ言ってくる。


どんな種類があるだの、どうやって遊ぶだの。

そんなの、興味ないからうざったいだけで。


そんな時、アイツがタイミングよく来てくれた。


「大翔ー、習字道具貸してっ」


隣のクラスの克也。

こいつは、よく忘れ物をして俺に借りに来る。


「また忘れたのかよ?克也」


雅志が、呆れたように言っている。

俺は黙ったまま、机の上に習字道具を置いてやった。


「いやぁ、すっかり要るの忘れててさぁ。いつもごめんな、大翔」


あははははと笑った後、笑顔で克也はそう言った。
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