揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「あのさぁ、克也」


そう声を掛けてから、俺はここに雅志がいる事を思い出した。

こいつがいたら、由佳さんの事訊けないじゃん。


「ん?何?」


「……今日、お前ん家行ってもいい?」


咄嗟に、そう言ってしまっていた。

克也に由佳さんの事を訊くなら、2人でゆっくり話せるとこがいいし。


けど、克也ん家ってことは……。

よく考えたら、由佳さん家じゃんか。


「今日?別にいいけど。珍しいな、大翔がそう言うの」


「いや、ちょっとさ……」


どう答えようかと悩んでいたら、


「何か顔赤いぞ、大翔。お前、克也の事好きなんじゃねぇの?」


と、向かいに座る雅志が言い出した。


ホントにこいつは……。


「そんなわけないだろ。とりあえず、頼むな克也」


克也に習字道具を手渡し。

なんだか居づらくなった俺は、席を立ってそのまま教室を出た。


早く…放課後になって欲しいよ。
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