揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
想定外だった。


言っちゃ悪いけど、恋愛なんて縁の無さそうな克也だから。

まさか俺の気持ちがバレるなんて、思いもしなかった。


心の準備ができてなかったから、何も言えなくて。

思考回路はショートしっぱなしなのに、心臓だけが激しく動いている。


何て言えばいいんだ……?


「悩んでたなら、もっと早く言ってくれればいいのに」


意外だった、克也の言葉。

見ると、優しい笑顔を浮かべてた。


「だって……」


言えるわけねぇじゃん。

「お前の姉さんが好き」だなんて。


だって、相手は高校生なんだぜ?

彼氏もいるし、俺だって梨香がいる。


「ホント水臭いよな、大翔って。それで?大翔はどっちが好きなんだよ?」


由佳さんと梨香。


そんなの、由佳さんに決まってる。

でも…それを言ったら、迷惑がかかるんじゃないか?


昨日の電話。

あれを思い出すと、素直に自分の気持ちを伝えれない。


「克也はさ、どっちを選んだほうがいいと思う?」


思わず、訊いてしまった。

由佳さんの弟としての意見が知りたかったんだ。


俺が…このまま由佳さんを想っていてもいいのかどうかを。


「俺?俺が決めるんじゃなくてさ、こういうのって本人の意志が大事なんじゃねぇの?要は、お前の気持ち次第じゃん」


俺の気持ち次第。


じゃあ、俺は由佳さんを好きでいていいって事なのか?


「……なんか、ちょっと気が楽になったよ。ありがとな」


今日の克也は、なんだか頼もしく見えた。

友達が自分の姉さんを好きだなんて知ったら、普通はなかなか応援できないよな。


由佳さんの弟が克也で、ホントに良かったよ。


だけど次の瞬間、耳を疑うような言葉が聞こえてきたんだ。


「じゃあ明日、ちゃんと気持ちを監督に伝えろよ」
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